矯正治療を開始すると、途中でやめることはなかなかできません。
治療中に「こんなはずではなかった」と後悔しても、後戻りはできません。
矯正治療を決心したからには、正しい知識を得て、
後悔しないよう十分に納得した上で治療を開始することが重要です。
治療期間を要し、費用の負担も大きい矯正治療。
だからこそ、治療が終わった時の患者さんの笑顔は本当に輝いています。
矯正治療は、患者さんの歯並びや口元、咬み合わせのお悩みを解決し、
自信や明るい気持ちを取り戻すお手伝いをする歯科治療です。
矯正治療でこう変わる
良い矯正歯科医の見分け方
-
十分な検査と、検査結果に基づいた説明があるか
矯正治療を始める前には、通常、以下の検査が必要です。
- 口腔内写真・顔貌写真
- 頭部X線規格写真(セファロ)
- パノラマX線写真(またはデジタルX線写真)
- お口の模型
- 上下の咬み合せの採取
最初に上記の検査をきちんとせず、十分な説明なく治療が始まる場合は要注意です。
-
治療の方法と治療期間の説明があるか
治療期間や治療方法は、患者さんによって異なります。
検査後に治療期間と費用について確定した説明がなかったり、内容がよく変わる場合は問題があります。多くの情報と選択肢を伝えられているか
歯科医師が全てを判断し、患者さんは完全に受身という治療は極力避けるべきです。
納得のいく治療法を選べるよう、選択肢を提示してもらいましょう。 -
デメリットも
伝えられているか矯正治療は歯並びや咬み合わせを整える一方で、患者さんによっては治療中の痛み、
抜歯の必要性、治療期間が長くかかる場合や体質によってはむし歯リスクもあります。
メリットしかない矯正はありません。
「短期間」「抜歯しない」「ワイヤーは使わない」等の場合において、
デメリットも伝えた上で、患者さんと歯科医が協力してデメリットを回避する対策を
とるのが理想的です。
抜歯について
矯正歯科治療の最終目的は、永久歯列を顔(軟組織=口唇や口の周りの筋肉など)とのバランスを考えながら、
整然と機能的に整えることです。「歯を抜かないこと」が矯正歯科治療の目的ではありません。
歯を抜くという行為は、治療のためであっても一時的に体にダメージを与えることには変わりありません。
しかし、治療方針上不可欠で、一生を通じて得られるメリットが大きい場合は、必要なことと考えています。
抜歯は大切な問題です。
抜歯によりどのような変化が認められるのか、反対に抜歯しないとどうなるのか。
歯のデコボコの量や前歯を覆う唇の形・大きさを見て、総合的に判断することが大切です。
抜歯を行う場合
- 歯の大きさとあごの大きさのバランスが悪い
- 歯が大き過ぎる
- 出っ歯や受け口など、上下のあごの位置が前後に大きくずれている
- 上下のあごがねじれて向き合っている
- 上下の歯が土台のあごから過度に突出し、口唇の閉鎖がしづらい
- 口元が突出している
非抜歯矯正の宣伝を見かけることがあります。
矯正治療に際して抜歯の必要性は、歯のデコボコの量、唇の形・大きさなど様々な要因により決まるもので、検査をせずに断言することはできません。

抜歯した方が良いケースを無理に非抜歯で治療すると、すぐに再発して歯並びがデコボコになってしまう場合があります。また、歯が並んでも歯ぐきが下がったり、口元が突出して、審美的な問題が残る可能性があります。

床矯正装置
上あごの骨は真ん中に継ぎ目があり、横に拡げてキープすることで間に骨が作られるため、物理的に拡げることが可能です。
一方、下あごは手足と同じ種類の骨のため、歯に力を加えたからといって土台の骨は拡がらず、歯の向きが上に向くことで多少拡がります。しかし、歯の向きが変わっただけなので装置を取ると後戻りしやすくなります。

また、拡げ過ぎによる歯根の露出なども気を付けなければなりません。
実際は、こういう装置だけで治療が終わる人はほとんどいないのが現実です。
子どもの場合、永久歯が生えるのを待って通常の矯正治療で仕上げをしないと、きちんと終わらないケースが多いのです。逆に、この装置だけで終わる人は、その装置をいれなくてもきちんとした咬み合せになった人であり、結局は矯正治療をする必要がなかったかもしれません。
矯正治療のトラブル
「矯正治療 失敗」「矯正 トラブル」など、
ネット上には矯正治療におけるこのような検索キーワードが上がっています。
事前にどのようなトラブルがあるのか知ることで回避できることもあるかと思います。
以下、当院で再治療したケースなどご紹介します。
-
トラブル例 ① 骨性癒歯(アンキローシス)「4年経っても治らない!」
歯を抜かない拡大矯正治療を受けた患者さんが、4年経っても治らないことに不安を感じてセカンドオピニオンを求めて来院されました。
前医が、患者さんの歯が動いていないことに気付かなかったことに加え、あとどのくらいかかるのか聞いてもはっきり回答できない、説明なしに治療方法を変えるなど、きちんとした治療方針を持っていなかったために起こったと考えられるケースです。当院の検査の結果、上顎右側の犬歯が骨と癒着して動かない状態(アンキローシスまたは骨性癒着といいます)であることが判明しました。そこで、上下顎にマルチブラケット装置を装着し、骨性癒着歯は脱臼させてから(骨から一時的に引きはがしてから)動かして治療を行いました。
動かない歯があることに気づかないで矯正治療を進めると咬まない状態になります。矯正専門医であれば、その経過から骨との癒着を疑い治療方針の変更を考えますが、前医はそれをしていないところをみると、矯正治療のきちんとしたトレーニングを受けていない、骨性癒着歯を診断する能力がなかったことです。
またそれ以前に、拡大床という装置ありきで、治療方針というものがなかった可能性があります。 -
トラブル例 ② マウスピース型矯正装置により咬み合せが悪くなってしまった
患者さんは、マウスピース型矯正装置による矯正治療で、奥歯が咬まない状態になりました。
「治療の最後までいけば咬むようになる」と説明され、治療開始2年後に再度相談すると、臼歯部を切断したマウスピースの装着を指示されたそうです。
マウスピース型矯正装置は、最初に1回印象を採り、治療完了までのマウスピースが製作できます。
「臼歯部を切断したマウスピースを装着したら、最初にコンピューターでシミュレーションして作った治療結果にならないのでは?」と疑問を呈したところ明確な回答が得られず、不信感を抱き、セカンドオピニオンを求めて来院されました。当院では、上下顎にマルチブラケット装置を装着し、上顎前歯を唇側傾斜させ、下顎骨を反時計回りに回転させて本来の下顎骨の位置に戻し、臼歯部の開咬合を改善しました。
近年、マウスピースによる歯の移動が盛んに行われるようになりました。
マウスピース型矯正治療では、マウスピースを装着していると咬合時でもマウスピースの厚みの2倍以上開口していることになります。つまり、矯正用のマウスピースは「噛み合わせの治療を行っているのに、食事時以外は歯が咬んでいない」という矛盾を孕んだ装置だということです。マウスピース矯正を選択する際は、治療後に臼歯部開咬合が生じる可能性を認識し、それを患者さんに伝え、それが生じた時の解決策を用意した上で治療を開始する必要があります。
以下のトラブル例は、矯正治療全般におけるよく聞かれるトラブルです。
こちらについては矯正歯科医とコミュニケーションを取り、患者さん自身も気を付けるようにすることで回避できます。
-
トラブル例 ③ 元に戻ってしまった
動的治療が終わって、ホッとして通院をやめてしまったり、リテーナーを使わないで放っておくと、再不整が生じることがあります。
歯の移動が終わって矯正装置を外したら、きれいに並んだ歯並びを安定させ、後戻りしないようにするための保定期間に入ります。保定期間は歯の移動にかかった期間と同程度で、リテーナーという歯の位置を安定させるための装置を付け、3~4ヶ月毎に通院します。
せっかくきれいになった歯並び・口元を後戻りさせないよう、保定完了まできちんと通院し、リテーナーもしっかり使用するようにしましょう。
-
トラブル例 ④ 矯正費用に関するトラブル
一般的に、健康保険の効かない矯正治療は、治療費も高額なため、費用に関しては矯正治療のトラブル案件の上位に挙げられると思います。
治療費用は歯科医院によってまちまちです。特に、通院の度に調整料がかかる歯科医院では、トータルでどれだけ治療費がかかるかわからず、患者さんもご不安だと思います。
- 治療費用には何が含まれるのか
- 通院の度にワイヤー調整等の費用がかかるのか
- 動的治療が終わり、保定期間の費用はどうなるのか
など、事前に十分に確認する必要があります。
※当院では、治療費総額を治療開始時に提示しており、通常、治療終了まで最初にお知らせした以上の治療費がかかることはありません。治療が長引いた分は、当院が負担することになりますので、最初にお伝えした治療期間で終了することを目標に、責任をもって治療にあたります。歯の移動が終わり、歯並びを安定させる保定期間も別途料金はかかりません。
また、当院では分割払いされる方も多くいますが、利子は頂いておりません。 -
トラブル例 ⑤ 当初の治療計画通りに進まない(期間が長い)
矯正治療では、患者さん都合の場合と医院都合の場合で、治療期間が延びてしまうケースがあります。
患者さん都合の場合は、患者さんにお願いしているゴムやヘッドギアをご自宅で付けていただいていない、患者さんが通院をさぼってしまうなどのケースが多く、医院都合の場合は、治療の途中で症状の問題が起こり、当初の治療方針通りに進まないケースなどです。
何の説明もなく予定より大幅に治療期間が延びて、さらにその都度調整費用がかかるような歯科医院の場合は、そのままにせず、しっかりと歯科医師に説明を受けるようにしましょう。
当院のご紹介
歯科矯正治療は、美しさを創造する医療です
歯を動かすことは簡単です。お口の中に装置を入れさえすれば、歯は簡単に動きます。
ただ、正しい位置に歯を動かして上下の咬み合せをきちんと作ることは、
トレーニングを受けた歯科医にしかできません。
むし歯の治療の目的は、歯を元の状態に戻すことです。
矯正治療は、今までと全く違った新しい状態を作り出す医療です。
元に戻す医療と異なり、目標となる“元”の状態がありません。
ですから、矯正治療で作り上げられる咬み合せは理想的な状態である必要があります。

院長紹介
星歯科矯正 院長 星 隆夫(ほし たかお)
日本歯科矯正医認定機構(JBO)
認定歯科矯正医・認定審査委員

日本矯正歯科協会(JIO)は、矯正歯科の学術団体です。
100症例の厳しい基準で、患者さんの立場に立った専門医制度の実現をめざしています。
日本矯正歯科学会 認定医
Yogosawa Foundation
- 【院長略歴】
- 1989年 新潟大学歯学部卒業
- 1993年 新潟大学大学院修了 博士(歯学)取得
- 1993年 新潟大学歯学部歯科矯正学教室研究生
- 1994年 新潟大学歯学部歯科矯正学教室医員
- 1995年 新潟大学歯学部附属病院矯正歯科助手
- 2003年 新潟大学医歯学総合病院矯正歯科診療室助手
- 2006年 4月 同退職
- 2006年 5月 星歯科矯正 開業
「この程度でいいだろう」という妥協はしません
きちんと上下咬み合うことで、初めて歯はその位置に留まることができます。
妥協した場合、咬み合わせが安定せず、咬むたびにいろいろな方向から歯に力がかかります。
すると歯は新たな安定を求めて動き出します。これがリラプス(後戻り・再発)です。
このようにならないように上下の歯が互い違いにきちんと咬むように、
言い換えれば、神様が作った通り(歯の解剖学的形態通り)の咬み合せを患者さんに与えることが歯科矯正治療です。
さらに言えば、その咬み合せは唇、頬、舌などの軟組織と歯や骨などの硬組織のバランスがとれた位置に存在し、
美しく機能的な口元の構成要素となっていることが不可欠です。
このような位置にきちんと咬み合せを作るには、技術だけでなく経験が必要です。
当院にはこの技術と経験がありますので、ご安心ください。
仕上がりが違います!オーダーメイドの矯正治療
当院は、矯正治療法の中でも特に歯科医師の技術力が必要とされる「スタンダードエッジワイズ法」を用いています。
スタンダードエッジワイズ法とは
あらかじめ平均的なサイズにつくられたワイヤーを装着するストレートワイヤー法とは異なり、最初から最後まで、患者さん個人の歯の形とアーチに合わせてワイヤーを曲げる“オーダーメイドの矯正治療法”です。
そのため、治療の開始からゴールまでまわり道がなく、効果的に歯を動かすことができます。


子どもの最適な治療時期を見極めます!
子どもの矯正治療は、Ⅰ期(=乳歯から永久歯に生え変わる混合歯列期)治療とⅡ期(=永久歯が第一大臼歯まで生え変わった時期)治療に分けられます。
混合歯列期にⅠ期治療をした方が良いケースもあれば、経過観察をしてⅡ期治療から治療するケースもあります。
子どもの矯正は、最適な時期に最適な治療を行うことで治療期間が短縮されます。
相模原近隣だけでなく、遠くの患者様もたくさん通っていただいています
星歯科矯正は、相模原市をはじめ、神奈川県(横浜市・大和市・座間市・綾瀬市・厚木市・海老名市・藤沢市・伊勢原市・秦野市・平塚市)、東京都(町田市・多摩市・稲城市・日野市・昭島市・日野市・八王子市・あきるの市)の皆様にお越しいただいております。
矯正治療について
【治療内容】
スタンダードエッジワイズ法を用いて歯を動かし、歯並びや口元・咬み合わせを整えていきます。
【治療期間及び回数】
動的治療期間:約2~3年、月に1回程度の来院
保定期間:約2年、4か月に1回程度の来院
【標準的な費用(自費)】
子どもの矯正:第Ⅰ期 約30~50万円、第Ⅱ期 約40~70万円
中高生・大人の矯正:約80~120万円
【リスク 副作用】
初めて装置を装着した時やワイヤー調整後は、噛むと痛みを感じたり、違和感を持つ場合があります。
矯正治療中は歯磨きしにくい部分ができるため、むし歯や歯周病になるリスクが高くなります。
歯を動かす際に、歯根吸収や歯肉退縮が起こる場合があります。
歯並びを整え、咬み合わせを改善するため、やむを得ず健康な歯を抜くことがあります。
リテーナー(保定装置)を使わずに放っておくと、治療前の状態に後戻りすることがあります。
※ 矯正歯科治療は公的健康保険の対象外の自由(自費)診療となります。